タイムマネジメント - 時間管理術
この本を手に取ったきっかけは、タイム・コンサルタントの日誌からというブログでした。
時間管理に関する、”ためになる”エントリが私をファンに。過去エントリを掘り返していくとこの本の紹介にあたります。
このようなことを実施するためには、To Doリストと日誌を一体化した運用が必要になる。これについては近著『時間管理術』の中に述べたのでくわしく説明はしないが、この両者がタイム・マネジメントに必須の心得であることは、ぜひ記憶に留めておいてほしい。
タイム・マネジメントの心得 : タイム・コンサルタントの日誌から
本書に記されている、プロジェクトマネジメントを背景に置いた時間管理術は、数多くある時間管理本の中でも、ITエンジニアはぜひ手に取った方がいいと思います。
- 作者: 佐藤知一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 新書
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というわけで印象に残った点をメモします。
ストーリー
企画業務に携わるS君。時間に追われて結果が出ず、プライベートではデートの余裕もない。
叔父役で著者の佐藤知一氏が、甥にあたるS君にタイムマネジメントを伝授する。といったストーリーで展開されていきます。
私はタイム・マネジメントのうまさを、5段階で計るようにしている。 レベルは1からレベル5まであって、レベル4以上は上級、柔道ならば黒帯だ。やるならここを目指さなければいけない。
どんだけ頼りになる叔父さん...(w
レベル0 - 時間の問題を意識する
タイムマネジメントで一番基本的なことは「着手日」と「完了日」だ
計画の理論では着手と完了の予定日をさらに2種類づつに分解する
- ES(Earliest Possible Start Time)
- 再早着手日
- EF(Earliest Possible Finish Time)
- 再早完了日
- LS(Latest Possible Start Time)
- 再遅着手日
- LF(Latest Possible Finish Time)
- 再遅完了日
あるタスクのスケジュールに「幅」を持たせる考え方は、無意識にやっていたかもしれませんが、この本を読んで一層鮮明になりました。
レベル1 - 記録する
「公開を目的としない、個人的な記録を毎日つけよう。1日に15分、自分の時間をそれに当てよう」
ブログのような公開目的のものではなく、「日誌」を書くことで自分が消費している時間の配分を認識することがスタートです。
ツールの紹介は特にありませんが、私はエディタが一番かと思います。
レベル2 - 日々の予定を立てる
TODOリストの活用方法についての解説が中心。
この章は、TODOリストよりも見積りについての話が興味を引きます。
タスクの期間見積には、一点見積法と三点見積法がある
三点見積法は、幅を持って見積る。..(略)..
過去の経験を元に「楽観値(最短)」「悲観値(最長)」「最頻値(頻度が高い値)」の三種類の数字をを見積るのだ。
推定所要期間 = (楽観値 + 悲観値 + 4 ×最頻値) ÷ 6
これは目からウロコでした。例えばちょっとしたプログラムの修正作業。
- 楽観値 = 1.0日
- 悲観値 = 3.0日
- 最頻値 = 2.0日
とした場合、
(1 + 3 + 4 * 2) / 6 = 12 / 6 = 2日
とかそういう風に見積もるわけです。もちろんデータを収集していることが大切になりますが、それぞれがエイヤーでも、こうして違った角度で見るのは有効だと思います。
レベル3 - スケジュールを組み立てる
ガントチャートとクリティカル・パスについての講義。
自由度(バッファー)を、どう使うか。..(略)..
結論から言うと、これを一種のタスクと同じように扱い、プロジェクトの隘路の最後に置くべきだ。
※隘路(あいろ)=クリティカル・パス
プロジェクトマネジメントでは良く話を聞く手法ですが、どのような考えからこうするべきかが本書では解説されています。
レベル4 - 進捗をはかる
レベル5 - 分析し改善する
レベル4とレベル5は、上級、柔道でいう黒帯になるための講義。
ウェブでも過去に紹介されていた EVM(EVMS) や、リクスマネジメントの考え方が解説されています。
著者の佐藤 知一(ともいち)氏はシステムアナリストとしてプロジェクトマネジメントに従事しているそうです。
現場を意識しているからだと思いますが、解説が分かりやすく、読みやすい。
正直なところ、このままをアウトプットに持っていくのは難しいと感じていますが、
私のように、「今までのやり方ではちょっと...」と詰まった時に、意識や考え方を学ぶにはとてもいいと思います。