批判的に数字を捉える - 統計はこうしてウソをつく

先日、図書館に行った際に面白そうなので手に取りました。

統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門

  • 日本では○○人が××である。
  • ○○のうち△△%が××である。

ニュースで最近特に見かけるこうした数字の数々。
どこかの信頼ありそうな機関で実施された、大がかりな調査で得られた統計から引用された数字...は意図的に作られているかもしれないよ。という話。

実際問題として、現代社会の市民にとって社会問題についての統計を避けるのはほとんど不可能である。統計は様々な形で現れ、ほとんどあらゆるケースで、統計を宣伝する人々が私たちを説得しようとする。活動家は統計を用いて、社会問題が深刻で、注目と懸念に値すると納得させようとする。慈善団体は統計を利用して寄付を募る。政治家は統計を用いて、自分たちは社会の抱える問題を理解しており、支持するに値すると説得する。メディアは統計を用いて、報道を劇的で説得力があり、興味を引きつけるものにする。企業は統計を利用して製品を宣伝し、利益を増やそうとする。研究者は統計を使って、調査結果を報告し、自分の結論を裏付ける。

P212


事例が多く引用されていて、なかなか面白く読めました。

キモは6章です。この本では、統計に対して批判的に捉えて(鵜呑みにせず、ウソだと決めつけず)、評価を下すことが重要と書かれています。

  • この数字の出所は?
  • どうやってこの数字を出したのか?
  • 誰が出したのか?
  • 出した人は数字にどのような利害があるのか?
  • 出されているキーワードには、他にどのような定義があるのだろうか?
  • 数字は適切に解釈されているか?
  • 比較はされているか?比較は適切か?

などなど。


ある統計が、拡大解釈されたり、ねじ曲げられたりといった、突然異変統計となるケースもあるので注意。という話も面白かった。

  • 不適切な一般化
    • 言いたいことを裏付けたいために作られた定義や、不適切な計測方法
  • 変換
    • 多くの関心を引きつけるための変換
  • 複合的な誤り
    • 上記の複合的なものや、変異に変異を重ねてとんでもない数字に変えられた統計