ガソリンが高騰した本当の理由 - 「ガソリン」本当の値段
Amazonに在庫が無かったので書店で探したのですが、探した甲斐がありました。
ガソリンの値段はなぜこんなに値上がりしているのか
「ガソリン」本当の値段 石油高騰から始まる"食の危機" (アスキー新書 025)
- 作者: 岩間剛一
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2007/08/10
- メディア: 新書
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著者の岩間剛一(いわま こういち: 1956年生)氏は、 東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行から、石油公団企画調査部(原油価格予測、米国エネルギー政策担当)出向を経て、和光大学経済経営学部で資源エネルギー論の教鞭を取っている方。
最近では
のようなニュースなど、原油価格の高騰や食物価格の高騰について、その背景が解説されています。
目次
■第1章 原油価格はいかにして上昇したのか
■第3章 原油の市況商品化と市場のねじれ
■第4章 資源小国ニッポンの未来は暗い
■第5章 「日の丸資源」確保を急げ
普段は「原油は間もなく枯渇する」と認識していて、「子供たちの世代は石油無しで大丈夫なのか?」が本書を読むきっかけだったのですが、読んだ後にはもっと別の問題が突きつけられた感じがします。
イランなど一部の加盟国では、在庫が高水準にあることなどから、減産を主張していた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008030602093069.html
のような、OPECによる原油増産への動きに対して、本書では、
米国の原油在庫は2005年の初めには、2億7000万バレルと備蓄量が不安視されていたが、そこから一転して増加傾向にあり、07年4月時点においては3億4000万バレルと在庫水準は極度に膨張している
P84
それにもかかわらず、原油価格が高騰しているのは、ニューヨーク原油先物市場における市場テクニカルな要因や米国国内における環境規制の強化などが複雑に絡み合っていることは疑いのない事実だ。
P102
と解説されており、本書を読んだあとでは、このOPECの判断にも納得してしまいます。
■第4章 資源小国ニッポンの未来は暗い
■第5章 「日の丸資源」確保を急げ
では、資源小国である日本が抱えるエネルギー問題の現状について解説されており、中国・インドといった新興国の原油消費高が急増している今、一段とエネルギー確保が重要であることが分かります。
本書中に出てきたキーワードをメモしておきます。
- 1バレル=159リットル
- 原油価格とは、米国ニューヨークのマーカンタイル取引所(NYMEX)に上場しているWTI原油先物価格を意味している
- 原油の埋蔵量とは、その時点における技術水準や経済状況によって劇的に変化する概念
- 市場で取引される原油には、米国NYMEX市場のWTI原油、ロンドン市場の北海ブレンド原油、東京原油市場のドバイ原油がある。
- 地政学リスクとは、資源保有国における政治的、宗教的、社会的リスクが国際関係に与える影響。
- 資源ナショナリズムとは、資源国による、外国資本に天然資源を収奪されることを許さないという考え方。
- 日本では京都議定書の目標達成計画において、2010年までに輸送用燃料のうち50万キロリットルのバイオ燃料の利用が決められている
- うち21万キロリットルの供給を石油業界が担うことになっている。
- バイオエタノール=エコは誤り
- 原油価格高騰をきっかけに、代替エネルギーへの期待が高まり、その原料となる穀物価格が高騰している(食品の値上げ)
- 現在の農業水準では、牛肉1キログラムを精算するのに必要なトウモロコシの量は10キログラム。
- メタンハイドレートと言われるエネルギーが日本を資源立国に変えるチャンスと考えられている。
専門的な用語も出てきますが、身近な話題なので比較的すんなり入って来ます。
読んだ後いろいろと考えさせられる本です。