睡眠の科学 - 快適睡眠のすすめ
多くの人にとって、1日の1/3は睡眠に充てられます。
寝る事に悩むのは非常につらいものです。私も学生時代に不眠症だった時期があり、その大変さを痛感しました。
タイトルに惹かれて買った本ですが、他の睡眠本とは一味違う、タイトルともちょっと違う、面白い本でした。
- 作者: 堀忠雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/07/19
- メディア: 新書
- 購入: 21人 クリック: 173回
- この商品を含むブログ (61件) を見る
ヒトに睡眠が足りない時代
現代ほど、人々の睡眠が祖末に扱われた時代はない。
人口の3分の1は眠りたくとも眠れない苦しみにあえいでいる。
確かに、昔に比べて睡眠不足が多いと感じている人は相当多いのではないでしょうか?
「これで太陽にしがみついた原始的な生活は終わり、人は自由に好きなときに働き、好きなときに眠ることができる」
と言ったそうですが、現代の姿を想像して言った言葉なのかは分かりません。
1 睡眠のメカニズム
さまざまな研究データが引用されながら、睡眠の面白いメカニズムが紹介されています。
例えば、
見張り番メカニズム
睡眠中も脳は環境をしっかり監視しており、わずかな変化でも危険を察知したら、ただちに睡眠を中断して覚醒する。
睡眠中の物音などに反応し、「K複合」と呼ばれる100μVくらいの反応波形が現れるそうです。
ただし、録音した人名を逆に再生した場合などの、いわゆる「雑音」には反応が薄れるそうで、いい睡眠ができるようにできているわけだそうです。なるほど。
2 眠りにはリズムがある
ここは科学的な説明が盛りだくさんです。入眠には最適な章ということで(w
3 眠りには個人差がある。
興味を惹いた点を引用。
われわれは本来早寝早起きが苦手であり、夜更かし朝寝坊は得意である。
特に生活上の制約がなければ、どんどん夜更かし朝寝坊になるようです。
いたって普通のことなんですね。
朝型は夜更かしができない。
朝型と夜型の「平均体温リズム」というデータを引用して解説しています。
残業や夜勤が不可避な職場では、夜型が好ましい適正の一つとなっている。
努力すれば短眠型になれる。
現代人が飛びついてしまう話題です。
この本によると、少しづつ睡眠時間を短縮していくと、努力次第で短眠型として生活することは可能だそうです。
ただし、
無理なく短縮できる限界は6時間。
寝不足間や目覚めの悪さが落ち着くには6ヶ月を必要とする。
何の目的で睡眠時間を切り詰めるのか、動機付けの強さが睡眠時間短縮の成否を決定する。
という点は抑えておいた方がいいでしょう。
4 リズムが乱れると
睡眠リズムが乱れるとどんな弊害があるのか、事例や実験データを交えて解説しています。
位相調整には1週間から10日
海外への旅行や出張における時差調整について解説しています。
到着後、第一夜を過ごした翌日は、現地の朝に起きて、カーテンを開け朝日をしっかり浴びて活動開始。
いつまでも日本時間を思い浮かべたりせず、現地の時計にあわせ、昼は昼、夜は夜と、その気になりきることである。
時差症状が消えるのは、東向きで時差1時間につき1.5日ほど、西向きでは1.0日ほどかかる。
ヒトが元来、夜更かし朝寝坊は得意なので、遅くなる分(西への移動)は慣れるのがラクで、早くなる(東への移動)は大変とのこと。
思い当たるのはドイツに出張したときのこと。この例だと、日本に帰ってからの時差調整が大変になるのですが、確かに。
夜に全然寝れなくて、かなり苦労した記憶があります。体調もボロボロになりました。
以降は、いよいよ快適な睡眠法について解説されています。 睡眠を真剣に考える人は、ぜひ読んでみてください。